今や夏の熱中症対策の定番ともなった「塩分チャージのタブレット」や「塩飴」「梅飴」。
最近はいろんな味のものが販売されていますし、美味しくてついつい食べ過ぎてしまうこともありますよね。
汗をかきやすい夏には、水分補給と一緒に塩分の補給も大事だと言われますけど、塩分の取りすぎも気になるところ。
そこで、ここでは…

- 汗で流れる塩分の量ってどれくらいなの?
- 1日に必要な塩分の量ってどれくらい?
- 熱中症予防の塩飴やタブレットは1日に何個食べていいの?
こんな、夏の塩分補給のあれこれについてまとめてみました。
もくじ
汗の塩分濃度 含まれる量はどれくらいなの?
汗をかくと汗と一緒に塩分も排出されてしまうから、水分補給だけじゃなくナトリウムや塩も摂らなくちゃダメ!
…というのはなんとなく感覚でわかりますよね。
でも…そもそも流れる汗に含まれる塩分の量ってどれくらいなんでしょう?
汗に含まれる塩分濃度
一言で「汗」と言っても、べたべた体にまとわりつくような汗から、さらっとしたものまで様々。
汗の種類には大きく「いい汗」と「悪い汗」の2種類があると言われています。
簡単に言うと…
- 良い汗:水分が多くサラッとした、塩分が少ない汗
- 悪い汗:べたべたしたしょっぱい、塩分が多い汗
このように分類されます。
スポーツや運動で、普段から汗をかく習慣がある人は体が汗をかくことに慣れているのでサラサラとした「いい汗」を、その習慣が無い人が突然汗をかくと、血液中のミネラル分を多く奪ってしまう「悪い汗」をかきます。
この流す汗が「いい汗」か「悪い汗」かで、汗に含まれる塩分の濃度も変わってくるんです。
べたべたした、舐めると塩辛い汗の場合は、1リットル当たり約3~4g程度。
サラッとした汗だと、1リットル当たり約1~2g程度だと言われているのですが、わかりやすく、平均して汗に含まれる塩分濃度は約0.3%~0.4%と言われています。

ですが、炎天下でのハードな運動や作業で大量に汗をかく場合は大幅にアップ!
約0.9%となっています。
以前、「外仕事での熱中症対策 予防グッズや水分補給のタイミング!」で、
夏場の28度~30度の屋外で1時間歩いた時にかく汗は約600ml、31~34℃になると約800mlだとお話しましたが…
真夏の猛暑日には…
POINT! 800ml × 0.3% =2.4g…と、1時間当たり約2.4gの塩分が汗と一緒に体の外に出ていることになるんですね。
熱中症予防に必要だという塩分 1日の摂取量はどれくらい?とりすぎたらどうなる?
では、これを目安にして、次は「私たちに必要な1日の塩分量」についてみてみましょう。
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書』によると…
18歳以上の男性:8.0g/日未満
18歳以上の女性:7.0g/日未満
出典:『日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書』
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041733.html
…とのこと。
1日当たりの摂取基準って思ったよりも少ないんですね!
食事で摂る塩分も考えると…
さらにここで気になるのが「普段の食事で摂取する塩分の量」です。
だって、夏場の熱中症の時期以外には「塩分は控えめに!」なんて声高に言われていますよね。
おそらく、普段の生活ではかなりの量の塩分を摂っているんだと予想されます。
この結果次第では、「水分補給と一緒に塩分もしっかり摂らなくちゃ!」というのもちょっと考えないといけませんよね。
調べてみたところ、日本人が食事でとる1日の平均の塩分量は約10g。
やっぱり!Σ(゚ロ゚;)
あっさり1日の摂取量をオーバーしてます!
水分補給のスポーツドリンクにも塩分が含まれているので…
さらに、忘れちゃいけないのが汗をかいて「水分補給」として飲むスポーツドリンク。
このスポーツドリンクには約0.1~0.2%の塩分が入っているんです。
…つまり、500mlのスポーツドリンクには0.5~1gの塩分が含まれているという事になります。
普段の食事で10g、そこからさらにスポーツドリンクの水分補給で1g。
1日の塩分摂取基準が7~8gだったから塩分は十分足りてて…
汗で流れる塩分の量が1時間当たり約2.4gだったから…

あれ?
これを考えると、1時間程度の汗をかく分には、塩飴やタブレットで塩分補給をする必要はないの?
…そうなんです。
実は、夏場には水分補給と一緒に塩分も補給する必要があるのは…
- スポーツ、運動、仕事や作業で大量に汗をかく状況
※ 目安:1時間で1リットル以上の発汗を伴う運動を1時間以上実施
このように、大量の汗をかく場合のみだそうなんですね。
でもなぜ塩分補給が必要だと言われるのか?
でも、なぜ夏は「塩分補給をしっかりと!」と、当たり前のように言われているんでしょう?
それには、「自発的脱水」と呼ばれる脱水症状が関わっています。
私たちの身体には体内の塩分濃度を一定に保つ機能が備わっていて、体内を流れる血液は約0.9%のナトリウムを含んでいます。
ですが、大量に汗をかいた時に水だけを飲むと、血液中のナトリウム濃度が低下…。
その結果、これ以上ナトリウムの濃度を下げないようにと、水を飲みたいという欲求がなくなってしまうんですね。
これを「自発的脱水」と呼ぶのですが、これが起こると体液のバランスが崩れて、運動機能の低下や体温の上昇が起こり…
めまいや失神
頭痛、吐き気、倦怠感
身体に熱がこもる、ほてり
このような熱中症が起きてしまいます。
ひどい場合には、筋肉の痙攣や硬直神経障害によって命の危険が生じる事も。
そこで、「大量の汗をかくような時には、水分だけじゃなく塩分も一緒にとりましょう!」と言われているんですね。
『どのタイミングで1回あたり何個くらい食べればいいの?』な疑問についてはこちらでまとめています。
熱中症予防の塩分タブレットや塩飴は1日何個まで食べていい?
普通に生活する分にはあえて摂取する必要のない、塩分をチャージするためのタブレットや塩飴。
何粒までならOK?というよりも、むしろ食生活によっては控えた方がいいのかもしれませんね(;’∀’)
では、炎天下での屋外作業やアウトドア、スポーツなどをした場合はどうなのでしょう?

1日にどれくらい摂取したらいいの?
…というか、どれくらいなら食べてもいいの?
気になるこちらを最後にご紹介させていただきますね。
いろいろと調べてみたのですが、正直、塩分の取り方や摂取量の目安について「基準」を作るのは難しいようです。
- 発汗量には個人差が大きい
- その日の天気、気温や湿度などの条件によって発汗量が異なる
- 個人の体調や、汗をかきやすい体質などのいい汗と悪い汗がある
このような理由から、1日に何個までならOK!とは一概には言えないようです…。
が!
そこをどうにか突き止めたい!
…と、先ほどの「1日の塩分摂取基準」と「汗で流れる塩分量」をもとに「1日何個まで」かをちょっと計算してみました。
例えばこちらの「カバヤの塩分ジャージタブレッツ」。
こちらの商品は、1粒あたりの食塩相当量が0.11g。
10粒食べると1.1gです。
カバヤの塩分ジャージタブレッツは1袋あたり約30粒入りなので、極端な話、全部食べてしまっても3.3gの塩分相当量という事ですね。
1日に何mlの汗をかくかによっても変わってきますが、とりあえず、猛暑日で1時間歩くだけでも約800mlは汗が出るという事だったので…
800ml × 0.3% =2.4g
※ 平均的な汗の塩分濃度 約0.3%で計算
>>> 炎天下で激しい運動をした場合
800ml × 0.9% =7.2g
※ 激しい運動をした場合の「汗に含まれる塩分濃度が約0.9%」で計算
これだけの塩分が汗で流れることになります。

どちらの場合も、塩分チャージタブレッツを1袋すべて食べてしまっても過剰摂取…というほどでは無いようです。
むしろ、思ったよりも含まれていた塩分の量が少なかったんだなぁと。
最近の暑さはちょっと異常で「食べ過ぎかな?」なんて気になっていたので、ちょっと安心しました。
ただ・・・。
スポーツドリンクなどの熱中症対策では糖分の過剰摂取に注意
でもむしろ、調べていて気になったのは「塩分」よりも「糖分」です。
スポーツドリンクや飴などには糖分が含まれています。
糖分は身体や頭が疲れた時に摂取すると疲れが取れますし、内臓や細胞、脳を活性化させるために必要な成分です。
本来は摂取しても問題はないのですが…何事も「摂りすぎ」は禁物!
糖分を過剰に摂取してしまう事で…
喉の渇きや倦怠感
トイレが近くなる
吐き気や腹痛
このような症状が起こる事もあるそうです。
特に最近は、清涼飲料水の飲みすぎによる「清涼飲料水ケトーシス」、通称「ペットボトル症候群」という症状もよく見られています。
これは、糖分を多く含むジュースを多量に摂取する事で、血糖値が急激に上昇。
飲んでも飲んでも喉が渇いてしまい、更に飲料水を飲んで糖分を多く摂ってしまうという悪循環に陥いる症状なんです。
でもやっぱり水分補給も大切。
そこで、熱中症の予防にコンビニや自販機のジュースを飲むなら何がいいのか調べてみました。

・・・と、清涼飲料水だけでもかなりの糖分を摂取!
なので、塩分補給のためとは言え、糖分を多く含む「塩飴」などを大量に食べる事は避けた方がよさそうですね。
熱中症予防の塩分タブレットや塩飴は食べ過ぎ注意!1日何個まで?のまとめ
熱中症予防での塩分補給としては、食事、スポーツドリンクでも塩分摂取しているので…
屋外での運動や作業など、大量な発汗時のみ塩分補給を意識する
塩分補給の際は糖分の摂取量にも気をつける
必要以上に塩分摂取を意識する必要はないんですね。
むしろ塩分の取りすぎに気をつけなくちゃいけないんだと…。
その日その時の運動量や汗の量、ご飯をしっかり食べたかどうかなども考えつつ、1日何個までかを計算して、計画的に塩分を摂取していこうと思いました!
皆さんも、計画的な水分と塩分の補給で、熱中症に負けずに暑い夏を乗り切ってくださいね!
最後まで読んでくださってありがとうございました!