秋が深まってくるとそろそろ気になるのが年末年始の準備。
今年身内や親しい人に不幸があった方などは、喪中はがきのことが頭をよぎるのではないでしょうか?
喪中はがきはわざわざ業者に頼まなくても簡単にパソコンで作ることができるんですけど
でも、いざ作ろうと思って気になるのが喪中はがきのマナー。
今回はそんな喪中はがきの書き方に関する基本的なマナーや疑問について解説します。
もくじ
喪中はがきの書き方とマナー
喪中はがきの目的は、「喪中のために新年のご挨拶を失礼させていただきます」ということを伝えることです。
いわば年賀欠礼の挨拶状なんですね。
喪中はがきにはどういった内容を書くのかについては、こちらでご紹介しています。
一言添えるのも失礼には当たりませんので、久しぶりに連絡を取る相手には近況報告もしたいところですが・・・
結婚や引っ越しなどの近況報告は、喪中はがきとは分けるのがマナーとされています。
特に結婚の報告などのおめでたい報告は喪が明けて、落ち着いたころにあらためて結婚報告としてお知らせするのが良いでしょう。
引っ越しなどの報告については年が明け、松の内を過ぎてからの寒中見舞いなどで報告してもよいと思います。
喪中はがきの構成
一般的な喪中はがきの構成は次のようになります。
1.冒頭 :喪中であることを伝える
(1)喪中につき年末年始のご挨拶を失礼させていただきます
(2)喪中につき新年のご挨拶をご遠慮申し上げます
パターンとして大きく、年内に出すのか、年が明けてだすのかの2つに分かれます。
(1)の場合はあらかじめ相手が年賀状を作成する前に届くように喪中はがきを送る場合によく使われます。
(2)は喪中はがきが年内に間に合わなかった、もしくは年が明けて喪中を伝えてなかった相手への返信する場合に使われます。
2.誰が亡くなったために喪に服しているのかを伝える
〇月〇日に 父 太郎が七十歳にて永眠いたしました
この時の故人との続柄は、差出人との間の関係を記載します。
また、この続柄や故人の名前などは親しい間柄、つまり自分に不幸があったことを知っている人や、不幸があった身内の間や親族間で喪中はがきをやり取りする場合は、あえて記入せずシンプルに表す場合も多くなっています。
3.感謝の言葉:日頃の感謝の気持ちを表します
例:本年中に賜りましたご厚情に深謝いたしますとともに
:平素のご芳情を厚くお礼申し上げますとともに
4.今後のお付き合いに関する挨拶の言葉
例:明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
:明年も変わらぬご交誼を謹んでお願い申し上げます
5.相手を気遣う言葉
例:寒さに向かう折から皆様のご健勝をお祈り申し上げます
:皆様が健やかなる新年をお迎えになりますより心よりお祈り申し上げます
6.日付:年末に出す場合は12月
例:平成二十八年 十二月
このような構成が一般的です。
喪中はがきには句読点を使わない?
また、喪中はがきを書くうえで、いろいろと気をつけておきたいマナーがあります。
よく言われるのが「句読点を使わない」という事です。
実は、喪中はがきに限らず、一般的な挨拶状では通常句読点を使わないとされています。
そのため、はがき作成のテンプレートソフトや業者に発注する際の挨拶状でも句読点が用いられていないのがほとんどです。
もともと日本には文に句読点を入れるという習慣はありませんでした。
実は「、」や「。」のような句読点が一般的に普及したのは昭和になってから、長い日本の歴史では最近のことなんですね。
識字率が上がるにつれ、句読点があった方が文章が読みやすいだろうという観点から句読点が一般的に広まるようになったそう。
つまり、相手に対して「読みやすいように句読点をつけてあげる」という、ちょっと上から目線な意味合いが含まれているんですね。
そういったことから、相手に敬意を払うべき賞状や表彰状、改まった会葬礼状や年賀欠礼状(喪中はがき)には句読点を付けないようになっています。
失礼にあたるかどうかは受け取った相手の気持ち次第ですが、儀礼的な挨拶状では相手に敬意を払い句読点を用いない方が良いんですね。
喪中はがきの宛名も薄墨で書くべきか?
また、弔辞といって思い浮かぶのが「薄墨」ではないでしょうか?
通夜や葬儀の際に使う不祝儀袋は薄墨で記入しますし、喪中はがきも薄墨で書かなくちゃいけないの?なんて疑問に思ってしまいませんか?
でも・・・そもそもなぜ不祝儀袋は薄墨で記入するのでしょうか?
弔事に薄墨を使う理由
簡単に言うと、薄墨は悲しみのしるしです。
- 突然の訃報が悲しくて墨を摺る手に力が入らず墨が薄くなってしまった
- あまりの悲しみで涙がすずりに落ちて墨が薄くなってしまった
つまり、急な訃報を受け、悲しみの中で故人のもとに駆け付けたために
十分な準備ができずに薄い墨で書いた不祝儀袋になってしまった…ということなんですね。
ですので、本来は通夜と葬儀の時以外は「十分な準備ができる余裕がある」とされて薄墨は使いません。
ですが、はっきりと決まっているわけではありませんし、風習やマナーとして弔辞の際は薄墨を使うと考えている方もいらっしゃいます。
ご年配の方や目上の方に出す場合は、マナーを気にする場合もあるかと思いますので薄墨で書いた方が無難かもしれません。
またその場合、本来ならばはがきの両面とも薄墨で書くものですが、最近では文章を書く裏面は薄墨、宛名面は黒の濃い色で書く場合が多いようです。
これは・・・
「配達員が見えずらいだろう」
という配慮からそういった流れになってきたといわれています。
私も今まで受け取った喪中はがきを見てみると、文章が薄墨で書かれたものはありましたが宛名が薄墨で書かれたものは1枚もありませんでした。
そもそも、喪中はがきは「まだ悲しみの中にいますので、年始の挨拶は失礼させていただきますね」という挨拶ということでしたよね?
そう考えると、悲しみに沈んでいるのは自分(差出人)なわけですから、薄墨で書かれていない喪中はがきに対して、相手(受取人)が不快に感じることはないように思います。
ですが、弔辞の際は薄墨を使うというマナーが一般的であることを配慮して喪中はがきを薄墨で作成するわけです。
そう考えると、宛名面は配達する郵便局の方への配慮として、薄墨ではなく黒で記入する方がマナーに沿っているのではないかと思います。
喪中はがきを連名で出すときの故人の続柄はどうする?
宛名の書き方は?
喪中はがきを出す場合、宛名の書き方は通常の年賀状のやりとりとなにか違うのでしょうか?
相手の宛名の書き方
喪中はがきを出すとき、普段相手方を夫婦連名にしている場合や相手方の横に御一同様と書いて出している場合は普段どうりの書き方で。
喪中はがきは年賀欠礼の挨拶状なので、通常年賀状を相手のご夫婦に連名で送っているのであればそのまま書いて大丈夫です。
こちらの連名の書き方
既婚の場合、親族へ送る喪中はがきなどは通常連名で書くと思いますし、マナー的にも自分の宛名を夫婦連名で書くことは問題ありません。
ただ、年賀状では単名で書いてるのに喪中はがきだけ連名というのもおかしいですし、相手との関係を考えて使い分けたほうがよいでしょう。
子供の名前はどうする?
年賀状では子供の名前も入れて家族全員の連名で出すことが多いかと思いますし、相手の名前も家族全員の連名で出すことがあるでしょうが、喪中はがきも同じように子供の名前や年齢を入れてもいいのでしょうか?
結論から言うと、必要ありません。
繰り返しになりますが、喪中のお知らせは新年の挨拶を控えることを知らせるためのもの。
大人に知らせるだけで十分なんですね。
どうしても家族全員での挨拶がしたい場合は、あらためて寒中見舞いや余寒見舞いなどの挨拶状を使うといいと思います。
連名で出す場合の文中の故人との続柄は?
欠礼状を夫婦連名で出す場合、ご主人(夫)が主体の文章になります。
このような場合は、下の名前だけだとどちらの身内か分かりにくいので、故人の名前をフルネームで記載することが多いです。
- 義父 山田 太郎 が八十三歳にて他界いたしました
- 妻の父 山田 太郎 が八十三歳にて永眠しました
- 父 山田 太郎 が八十三歳にて永眠しました
人によっては「義父」「妻の父」と言った続柄を使わず、「結婚したんだから妻の両親も自分の両親だ」とあえて「父」と書く人もいます。
フルネームで記載していると旦那さんと苗字が違うことから奥さんのお父さんだと判断できるかもしれませんが、人によってはご主人の実の父が亡くなったと勘違いして心配する場合もあるかもしれません。
故人との関係をどう表すか明確な決まりはありませんので、故人への思いや自分の考えを大切にしながらも、はがきを受け取った人の気持ちも考えて折衷案を見つけるのがいいかと思います。
また、出す相手が夫の関係先だけならば、亡くなったのが妻の父だったとしても、連名にせず差出人は本人の名前だけにして「義父 山田 太郎」 と、義理のお父様の名前を書くのがわかりやすいかと思います。
喪中はがきの書き方とマナー 文章の句読点や宛名の薄墨連名での続柄を解説!のまとめ
ポイントとして…
季節を表わす時候の挨拶や頭語(拝啓など)、結語(敬具など)は使わない
「年賀」「おめでとう」「お慶び」などの言葉は使わず、句読点を入れない
いつ、誰が亡くなったのかを伝え、誰の喪に服しているのかをはっきりと伝えると同時に、相手に誤解のないように個人との続柄を記載する
喪中はがきを作成するときはこれらに注意するといいと思います。
いろいろと悩むことが多いですが、一番大切なのは「挨拶は失礼しますね」という気持ちを相手に伝えるということなんですね。
故人に対する自分の思いと、喪中はがきを出す相手に対する自分の誠意。
これをしっかりと押さえておくことが一番大切なことだと思います。